2025.09.01 お知らせ

Bio X Cell社 注目の研究のご紹介

CSF1R抗体:免疫学および神経科学研究における台頭する力

 

CiteAbによると、Bio X Cell社のコロニー刺激因子1受容体(CSF1R)抗体は、既に120以上の査読済み論文で引用されています。特筆すべきは、今年最初の8ヶ月間で、これらの抗体を用いた9本の論文がNature、Science、Cellに掲載されたことです。この急増は、生物学研究におけるCSF1Rの重要な役割と、その機能を解析するための信頼性の高い抗体ツールの価値の両方を反映しています。

 

CSF1Rの概要

 

CSF1Rは、マクロファージコロニー刺激因子受容体(M-CSFR)または分化クラスター115(CD115)としても知られ、III型受容体チロシンキナーゼ(RTK)、具体的には血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)ファミリーに属します。
その天然リガンドはCSF1とIL-34です。リガンド結合は受容体の二量体化と細胞質チロシン残基の自己リン酸化を誘導し、遺伝子発現を調節する下流シグナル伝達カスケードへと繋がります。CSF1Rシグナル伝達は、中枢神経系のミクログリアを含む、全身の単核食細胞の生存、増殖、分化に不可欠です。
CSF1Rの異常な発現は、様々な癌、神経変性疾患、炎症性疾患に寄与するため、学術的にも臨床的にも注目されています。

 

CSF1R阻害剤の臨床的進歩

 

CSF1R阻害には、低分子阻害剤とヒト化モノクローナル抗体という2つの主要な臨床戦略があります。どちらのアプローチも既に承認薬となっています。低分子阻害剤の中では、第一三共のペキシダルチニブ(TURALIO)とDeciphera Pharmaceuticalsのビムセルチニブ(Romvimza)が腱滑膜巨細胞腫(TGCT)の治療薬としてFDAの承認を取得しています。インサイト社のaxatilimab-csfr(Niktimvo)は、慢性移植片対宿主病(GVHD)の治療薬としてFDAに承認された初のCSF1R阻害抗体です。他にも固形腫瘍、神経変性疾患、神経炎症性疾患を対象とした臨床試験が進行中の候補薬がいくつかあります。
CSF1R阻害剤は単剤療法では効果が限定的であることが多いですが、免疫療法や化学療法と併用することで、臨床転帰が大幅に改善されます。さらに、低分子阻害剤は複数の標的に作用することが多く、例えばペキシダルチニブはCSF1Rに加えて、KITとFLT3も阻害します。選択性を最大限に高めつつ毒性を最小限に抑えることは、医薬品開発における中心的な目標であり続けています。特に、欧州医薬品庁(EMA)は肝毒性の懸念から、TGCT治療薬としてのペキシダルチニブの承認を却下しました。

 

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著者: Bio X Cell

 

注目製品:

CSF1R研究を支援するため、Bio X Cellは3種類の抗マウスCSF1R抗体を提供しています。

 

参考文献

  1. El-Gamal, MI, et al (2018) Recent advances of colony stimulating factor-1 receptor (CSF-1R) kinase and its inhibitors. J Med Chem. 61(13):5450-5466. doi: 10.1021/acs.jmedchem.7b00873.

  2. Peng, L, et al (2025) Recent advances in colony stimulating factor-1 receptor (CSF1R) inhibitors. Biochem Pharmacol. 242: 117187. doi: 10.1016/j.bcp.2025.117187.2209-2219.

  3. Dhenni, R, et al (2025) Macrophages direct location-dependent recall of B cell memory to vaccination. Cell. 188(13):3477-3496. doi: 10.1016/j.cell.2025.04.005. 

  4. Abdelbasset, M, et al (2024) Differential contributions of fetal mononuclear phagocytes to Zika virus neuroinvasion versus neuroprotection during congenital infection. Cell. 187(26):7511-7532. doi: 10.1016/j.cell.2024.10.028.

  5. Hill, JH, et al (2025) Neonatal fungi promote lifelong metabolic health through macrophage-dependent β cell development. Science. 387(6738):eadn0953. doi: 10.1126/science.adn0953. 

  

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